理想的な超国家形態として始まったはずのEUは今、加盟国間の経済格差、イギリスの離脱、移民問題などで揺れに揺れている。果たしてEUはどこへ向かっているのか? そもそもEUとは何なのか? 本書は、EUの中核をなす2大国ドイツとフランスの、九世紀以来一千年にわたる抗争の歴史を、主にフランスの外交政策の視角から考察したものである。フランク王国分裂以来、常にヨーロッパの中心で対立を繰り返してきた両国の歩みを振り返り、ヨーロッパとEUの今後を展望する。
明治初期、ナポレオン三世帝政下フランスのパリに留学中だった安芸藩(広島)藩士、渡正元(わたりまさもと)が思いがけず遭遇した普仏戦争。多くの留学生が仏国外へ避難する中、パリ市中に留まり、その目と耳と足を使って見聞体感した戦時下の生々しい様子を記録したのが『巴里籠城日誌』です。明治4年に『法普戦争誌畧』として刊行され、大正3年に『巴里籠城日誌』と書名を変えて再刊されました。その内容の一部は、大佛次郎の著作『パリ燃ゆ』に参照されています。 本書は、現代ではすっかり忘れられていたこの戦争見聞録を、横浜市立大学名誉教授松井道昭先生の監修のもと、読みやすい現代語訳にしたものです。幕末・明治の若き侍が見たヨーロッパの国、国民、戦争が、外国人ならではの視点から瑞々しく語られています。
日本経済新聞で紹介されました(2016/11/24)
朝日新聞で紹介されました(2016/12/25)
本書は著者渡正元が、その時代その場所で感じ考えたことそのままを読者の皆様に伝えるべく、敢えて原文の誤り等を修正しておりません。監修者による専門的な注釈・解説も合わせ読んでいただきながら、かの時代の空気を読者の皆様にも感じていただければ幸いです。